医食同源 ~ある血液内科医のブログ~
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帯状疱疹ワクチン
2024-01-23
最近,テレビのCMなどで「50歳を過ぎたら帯状疱疹予防を心がけましょう」という言葉をよく聞きます。
帯状疱疹は,子供の頃に感染した水痘・帯状疱疹ウイルスが神経節の中に潜み,過労やストレス,病気の罹患,加齢など免疫力が低下した際に,再び活性化して発症する疾患です。
50歳以上になると発症リスクが急激に上昇し,70歳代でピークとなり,80歳までに約3人に1人が発症すると推定されています
症状としては,水疱(水ぶくれ)が皮膚に分布している神経に沿って帯状に出現します
水疱が見られる2~3日前から痒みや痛みを感じるようになり,約1週間で水疱の多発や発熱,頭痛などの症状が見られることもありますが,通常は2~4週間で皮膚症状もおさまります。ですが,約2割の患者さんは,帯状疱疹が治った後も長期間痛みが残る帯状疱疹後神経痛を発症し,夜に痛くて眠れないなど生活の質が著しく低下してしまう恐れがあります
そのため,50歳以上の方を対象に,帯状疱疹ワクチンによる予防が勧められています。
帯状疱疹ワクチンには,1回接種の生ワクチンと,2~6か月間隔で2回接種が必要な不活化ワクチンの2種類があります。当院で取り扱っているのは後者の不活化ワクチン(以下,商品名シングリックス)です。
帯状疱疹発症予防効果は,生ワクチンが50歳代で69.8%であるのに対し,シングリックスは50歳以上で96.6%。効果持続期間は,生ワクチンが5年程度であるのに対し,シングリックスは9年以上です。
しかしながら,生ワクチンの費用が8,000~10,000円程度であるのに対し,シングリックスは1回20,000~25,000円程度(2回合計で40,000~50,000円程度)と高額であることが接種希望者の増加を妨げていた一因です。
そこで,別府市在住の満50歳以上の方に対し,同ワクチンの接種費用が助成されることとなりました
助成額は,生ワクチンは4,000円,シングリックスは接種1回あたり10,000円となり,実施期間は令和6年2月1日~3月31日(その後,令和6年度も継続予定)です。つまり,この制度を利用すれば,当院にてシングリックスを1回10,000~15,000円程度(2回合計で20,000~30,000円程度)の自己負担で接種できます。
常備しているワクチン数に限りがあるため予約が必要となりますので,病院受付にて御相談ください。
安藤 健明(血液内科部長 兼 総合内科部長)