医食同源 ~ある血液内科医のブログ~
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続・新型コロナウイルス感染症
2020-04-12
昨年12月に中国武漢に端を発した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は多くの国や地域に広がり,本日(4月11日)の時点で世界の感染者数は162万5000人を超え,死者は10万人を上回っています
日本においても感染者数の急激な増加を受けて,4月7日に東京,神奈川,埼玉,千葉,大阪,兵庫,福岡の7都府県において緊急事態宣言が発出されました。ですが,現時点では感染者数の歯止めには結びついておらず,国内の感染者数は6000人を超えています
大分県内でもこれまでに42例の感染者が発表されており,まだまだ予断を許さない状況が続いています。当院においても,全ての外来患者さんに対し受付前に検温および問診を実施し感染対策に努めていますので,ご理解・ご協力をお願い申し上げます。
前回の投稿で,このウイルスの感染様式は「飛沫および接触感染」と述べました。飛沫感染に関しては,マスクを含めた咳エチケットによる予防が重要です。接触感染に関しては,石鹸等による手洗いの他,アルコール等による手指消毒による予防が重要です。
医療機関における集団感染の原因として,医療用のタブレットが疑われる事例がありました。そこで,新型コロナウイルスが私たちの生活する環境でどれくらい生きていられるかを検討した海外の論文があります。それによると,エアロゾルでは3時間以上,銅では4時間,段ボールでは24時間,ステンレスでは48時間,プラスティックでは72時間程度生き残るようです 可能であれば,不特定多数の人が触れる硬貨やタブレット端末も消毒が必要かもしれません。(先日は,セルフのガソリンスタンドでも少しためらってしまいました…)
ちなみに,ニュースなどでよく耳にするエアロゾルとは,「気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子と周囲の気体の混合体」で,「気体の中に微粒子が多数浮かんだ物質」です。煙やミストなども,エアロゾルに含まれます。
エアロゾルが発生しやすいのは,気管支鏡検査,気管挿管および人工呼吸器装着などの医療処置に際してで,多くは医療従事者に対するリスクです。しかしながら,公衆トイレのハンドドライヤー(ジェットタオル)でも,ドライヤー内に何らかの病原体が残っていた場合はエアロゾル感染のリスクになり得るとの指摘もあります(実際に使用を停止している施設も多数あるようです)。
1日でも早く今回のコロナ騒動が終息することを祈りつつ,力を合わせて感染予防に努めましょう
安藤 健明(血液内科部長 兼 総合内科部長)