医食同源 ~ある血液内科医のブログ~
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人生会議
『人生会議』とは…
厚生労働省によると,「もしものときのために,あなたが望む医療やケアについて前もって考え,家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合い,共有する取り組みのこと」です。これまで,主に医療者間で『ACP:アドバンス・ケア・プランニング』として普及・啓発が進められてきましたが,より馴染みやすい言葉となるように『人生会議』という愛称が作られました
先日,あるお笑い芸人を起用した「人生会議のPRポスター」が公開されましたが,患者や遺族を傷つける内容であるといった意見が患者団体の方々等から寄せられた結果,ポスターの掲載が停止されました。そのニュース報道によって,結果的に『人生会議』という言葉が広く知られることとなりましたが…
先週,訪問診療先で2人の患者さんを看取りました。どちらも自宅で最期を迎えることを希望されていたがん患者でした。
2017年に行われた意識調査では,人生の最終段階を過ごしたい場所として,15~50%の方が「自宅」を希望されています。それに対して,実際には75%の方が「医療機関」で最期を迎えています。このことは,人生の最終段階において,患者自身の希望に寄り添うことの難しさを表しているのかもしれません
日本緩和医療学会からの声明では,『人生会議』または『ACP』について…死が近づいたときなどの特定の時期に限定せず,また,生命維持治療など特定の治療やケアの選好に限定せずに,本人の「大切にしたいこと」や「自分らしく生きること」を支えていくためにどのような治療やケアが最も望ましいかを話し合うプロセスであり,一般の方々にも医療福祉従事者にも正しく認識される必要があると述べています
がんに限らず,突然の事故やケガによって命が危険にさらされる可能性は,誰にでもあります。もしもの時にどのような治療を希望するか等について,前もって考え,家族や友人など周囲の信頼する人たちと繰り返し話し合う機会をつくってみましょう。
私たちも,直接の相談や訪問診療などいろいろな形でお手伝いしたいと思います
安藤 健明(血液内科部長 兼 総合内科部長)