医食同源 ~ある血液内科医のブログ~
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ポリファーマシーとは?
「ポリファーマシー」という言葉をご存じですか
「Poly(多くの)」+「Pharmacy(調剤)」の造語で,臨床的に必要以上のお薬が投与されている,あるいは不必要なお薬が処方されている状態を指します。明確な定義はありませんが,5~6種類以上の処方をポリファーマシーの目安としています
ポリファーマシーの問題点は,①服用しているお薬が多いことで,その相互作用などにより薬物有害事象(お薬との因果関係がはっきりしないものを含め,お薬を投与された患者さんに生じる好ましくないあらゆる出来事)が起こりやすくなること,②たくさんのお薬は服薬意欲を低下させ,本当に必要なお薬が飲み残されてしまうことなどです
いくつも病気を抱えている患者さんが複数の医療機関,診療科を受診することにより,類似薬の重複,逆の薬効をもったお薬の組み合わせ,服薬方法の複雑化という問題が起こり得ます。
重複しやすいお薬のトップ3は,胃薬,降圧薬,鎮痛薬です 中でも鎮痛薬は重複により作用が強くなるため,1週間も飲み続けると胃潰瘍,長期では腎機能障害が生じてしまいます。
また,逆の薬効をもつお薬としては,不整脈などに用いられるβ遮断薬と,慢性閉塞性肺疾患(COPD)に用いられるβ刺激薬の組み合わせなどがあります。
そして,お薬の種類が増えるほど飲み方も複雑になってしまい,必要なお薬が飲み残されるだけでなく,患者さんのQOLまで損ないかねません
このようなポリファーマシーに対する対策としては,診療科間および医療機関間の連携が不可欠です。そのためにも,「お薬手帳」をぜひ活用してください。
お薬手帳には,患者さんの基本情報,アレルギー・副作用歴の有無,過去の病気,かかりつけ医・薬局,服用薬に関する情報,処方されたお薬の名前,使用量,服用回数・方法・期間などを記載します。また,医療機関を受診する際や薬局に行く際には,お薬手帳を必ず携帯しましょう
安藤 健明(血液内科部長 兼 総合内科部長)