医食同源 ~ある血液内科医のブログ~
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マダニの季節
2025-03-21
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3月も後半に入り,ようやく暖かく感じるようになりました

屋外での活動機会が増えると気をつけていただきたいのが…マダニに刺されることによって起こる『ダニ媒介感染症』です
国内で問題となるダニ媒介感染症には,①日本紅斑熱,②ツツガムシ病,③ライム病や④回帰熱など細菌によるものの他,⑤重症熱性血小板減少症候群 (SFTS) や⑥ダニ媒介脳炎などウイルスによるものが報告されています
中でも重症熱性血小板減少症候群は,2013年1月に初めて国内例が報告された比較的新しい疾患です。マダニに刺されて6日~2週間程度で高熱,倦怠感,頭痛などが出現し,続いて嘔吐,下痢および腹痛などの消化器症状が認められます。血液検査で血小板減少,白血球減少の他,肝機能異常が認められ,致命率は約10~30%程度で特に高齢者では注意が必要です。治療薬としては,2024年6月にアビガン錠(コロナで一時期有名になった薬です)が処方可能となりました。
マダニの多くは,春から秋(3月~11月)にかけて活動が活発になります。草むらや藪などに多く生息するため,野外では長袖・長ズボン,帽子,手袋を着用し,首にタオルを巻く,サンダルは避けるなど,肌の露出を少なくすることが重要です。また,小児には使用できないものもありますが,マダニに対する虫よけ剤も市販されています
実際にウイルスや細菌などの病原体を持つマダニは少なく,過剰な心配は不要ですが…もしも刺されてしまった際には決して自分で取ろうとしないでください
マダニの口の部分が皮膚の中に残ってしまうことがあるので,お近くの皮膚科を受診して除去してもらうことをお勧めします。また,刺された後も数週間程度は体調の変化に注意をして,発熱等の症状が現れた際には必ず医療機関を受診しましょう
安藤 健明(血液内科部長 兼 総合内科部長)
