医食同源 ~ある血液内科医のブログ~
新しい肺炎球菌ワクチン:プレベナー20
2024-10-21
令和6年度(2024年4月~)より高齢者肺炎球菌ワクチンの定期接種制度が改訂され,定期接種対象者が『65歳の方(66歳の誕生日の前日まで)』(および60歳以上65歳未満で日常生活が極度に制限される程度の基礎疾患を有する方等)と縮小されました(当ブログ2024年4月3日『令和6年度からの高齢者肺炎球菌ワクチン』参照)。
2014年10月~2024年3月を経過措置期間として,各年度65歳,70歳,75歳,80歳,85歳,90歳,95歳,100歳になる方が接種対象でしたが,この機会を逃してしまった方々はどうすればいいのでしょう?
この度,2024年8月28日に20価結合型肺炎球菌ワクチン(プレベナー20)が薬事承認されたことを受けまして,日本呼吸器学会,日本感染症学会,日本ワクチン学会の合同委員会が「65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第6報)」を作成し公開することとなりましたので,御紹介いたします。
最初に…20価結合型肺炎球菌ワクチン(プレベナー20)とは何でしょうか?
肺炎球菌には90種類以上の型(血清型)があり,定期接種で使用される「ニューモバックスNP」はそのうちの23種類の血清型に効果があります(そのため,「23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン」とも呼びます)。これまでに任意接種で使用されていたプレベナー13は,その名の通り13種類の血清型にしか対応していませんでしたが,この度薬事承認されたプレベナー20は疫学的特性(抗菌薬耐性,髄膜炎のリスクや高い死亡率など)に基づいて7つの血清型が追加されたワクチンで,日本における肺炎球菌の血清型をニューモバックスNPと同様にカバーでき,予防効果もより長く持続されると推定されています。そのため,プレベナー20接種後にニューモバックスNPを追加接種する必要性は乏しいと考えられますので…今回報告された「65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第6報)」では,
・65歳のニューモバックスNP未接種者では,
(1) ニューモバックスNP定期接種 → 1年以上あけてプレベナー20任意接種 または 5年以上あけてニューモバックスNP任意接種
・66歳以上のニューモバックスNP未接種者では,
(1) ニューモバックスNP任意接種 → 1年以上あけてプレベナー20任意接種 または 5年以上あけてニューモバックスNP任意接種
(2) プレベナー20任意接種 → 以後の接種は不要
と示しています。ニューモバックスNPの効果持続期間は短く,約5年毎の追加接種が望ましいことを考えると…どこかのタイミングでプレベナー20接種を検討した方がいいかもしれません
肺炎は,65歳を超えると,また基礎疾患を有する方(慢性の腎・肺・心・肺疾患,糖尿病,癌など)では罹患しやすくなります。肺炎の原因微生物の中で頻度が高く,重症化するのは肺炎球菌です。肺炎は治癒しても身体機能低下や認知機能の低下を起こし,また次の肺炎を引き起こします。肺炎球菌ワクチンを接種することで,肺炎にかかりにくくなり,身体機能低下や重症化を防ぐことが期待できます。
その他,肺炎球菌ワクチン接種で認知症が23%減少したとの報告もあります。
高齢者やご家族の方には,肺炎予防についてこの機会に一度考えていただき,かかりつけ医ともご相談ください。
安藤 健明(血液内科部長 兼 総合内科部長)





