医食同源 ~ある血液内科医のブログ~
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大分県の結核罹患率は全国ワースト2位!
2024-09-19
本日,県主催の結核医療従事者研修会に参加しました
2021年(令和3年)に全国結核罹患率が初めて人口10万人あたり10.0未満となり,日本は結核低蔓延国の仲間入りをしました。しかしながら,都道府県別の結核罹患率では,大分県は2020年(令和2年)に9.5まで低下したものの,その後は徐々に上昇。2023年(令和5年)に12.2まで上昇し,全国ワースト2位となっています
年齢別にみると…別府市を含む東部保健所管内では,10歳代,20歳代,50歳代と高くなっており,外国人就労者や大学生が影響している他,接客業や海外での労働歴など仕事上での感染が考えられるようです。それ以上の年齢では,70歳代,80歳代と徐々に高くなり,90歳以上で最大(全体の約30%)となっています

2023年(令和5年)の新規登録有症状肺結核患者のうち,症状出現から初診までの期間が2か月以上である「受診の遅れ」割合は東部保健所管内で22.2%と報告されており,全国における19.9%を上回っています

2015年(平成27年)以降,大分県では「診断の遅れ(初診から結核診断までの期間が1か月以上)」・「発見の遅れ(症状出現から結核診断までの期間が3か月以上)」が全国平均と比較して高い傾向にあり,これらが全国平均と比較して長期入院を要する原因となっていると考えられます。尚,2022年(令和4年)は全国で大分県が最長(入院期間中央値 103日)でした
症状出現から診断~治療開始までの期間短縮は結核の蔓延防止~治療成績の向上に寄与すると考えられ,長期間持続する咳や発熱が見られる際には早期受診をお勧めします。しかしながら,高齢者結核では,基礎疾患を有するために典型的な症状(咳,発熱など)を呈しにくく体重減少や低栄養を呈することが多いので,合わせて受診をご検討ください
安藤 健明(血液内科部長 兼 総合内科部長)
